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每天一边散步一边吵架 – 相识了23年。电影导演的日常,至今也不知道妻子的底线在哪里。

"足立紳 向后方向走"第四集

 

结婚18年。 被妻子殴打和责骂,被两个孩子摆布,每天都在嫉妒别人的成功——但作为丈夫,作为父亲,我必须像一个男人一样的活下去!

 

『百元之恋』日本奥斯卡最佳剧本奖、『喜劇 愛妻物語』(从9月11日开始,他获得了东京国际电影节最佳剧本奖。 现在,作为导演和编剧,足立 紳的悲伤和奇怪的日常生活引起了极大的关注。

 


【第一本日记在这里】
【第二本日记在这里】
【第三本日记在这里】

 

6月7日


也许是因为年龄吧,从孩子在3月2日开始停课的那天起,每天都会起的很早。大约四点钟就醒来。有时是三点钟。当我醒来时,我儿子赤身裸体地睡觉,妻子却不见了(我的妻子、儿子和我睡在同一个房间,女儿睡在自己的房间里)。 自紧急状态宣布后,我妻子每晚都会走出卧室,在另一个房间张开大口的睡觉。原因似乎是因为我的呼噜,所以睡不着。

 

而我本身,也会因为自己的呼噜声睡不好觉,是时候该买一个护齿套了。我妻子在亚马逊买的几百日元的护齿套在晚上,我会不自主的吐出来。醒来后,我回复一些电子邮件,或写一些手稿,在五点半左右,我强迫叫起妻子,然后一同去散步。

 

学校从6月1日开始分阶段开学,早上起得早,所以提前了散步的时间。而现在,早上的散步已经变成了拍摄的一部分。 原因我们正计划在六月份,以少数人拍摄一部短片。在紧急状态期间,一对夫妇每天早上在散步时吵架,这也是一部反映我们俩的故事。 即使找到一条好路线,可有时交通量大,又有时不方便住宅区里无法大声说出台词,所以很难找到最佳的地方。

 

白天,我们前往小水和UTa的商店(https://twitter.com/tohtering),在那里我们为电影和电视剧的拍摄现场订好了便当等吃食。 从我家骑自行车30分钟,便可到达商店。 这是一个外卖专店,在商店外面已经排起了长队。 一个妻子正背着婴儿在音乐中似乎很开心,很可爱。 我买了咖喱和鸡肉饭回家,我女儿也很高兴。 我一口气吃了很多。真的很美味,大家也可以来尝尝。

 

6月11日

光是早晨的拍摄以无法完成,在正午30度的烈日下,他和妻子一边读短片的剧本,一边走着拍摄候选的道路。 拍摄的道路已经大致的定了下来,但这条路的距离是否能把对白说完,成为了最终的一个标准。两个中年男女在烈日下徘徊,汗水不断的流出,在外人看来虽然有些奇怪,但我不在乎。这就是我的每天早上。

 

每天早上散步时,我总是会惹恼我的妻子一次。每次都是因为说了一句多余的话,结婚18年,加上交往时期已超过23年,我仍然不明白妻子的愤怒点在哪里。 不,也许我隐隐约约的知道,但我不想她成为一个经常愤怒的人,因此,我不断的说一些没有必要的话,希望她能有所改善。 我妻子说,"你这是多余,你是谁啊,这么鸡婆。 不要强迫别人改变。无论如何,如果你停止多余的一句话,我们之间的争吵将是三分之一。 我的妻子也试图改变我...

 

这部短篇视频由东京都政府主办的"为艺术加油!活动而起。此次的拍摄也是作为计划的一部分。必须由10人或更少的人来进行拍摄,每名工作人员都得到10万日元的补贴。由于多年合作的拍摄师,猪本先生的推荐,并为了记录这种情况,我决定申请了这个项目。

 

然而,我让我的妻子进行申请此次的项目。 妻子多次说道,如脚本,拍摄,对对白等,我应该也申请这10万日元吧。 从申请阶段开始,她就一直在说"无论如何,我这么帮忙,应该得到应有的报酬。而我认为,在不知道她实际可以帮忙多少的情况下,就将妻子也注册作为工作人员,如果不需要帮助很多的话,觉得很丢人(总之,我很反对),就跟她说 "嗯,这次,应该不用你帮忙太多,也不必注册了吧。显然,我的想法是天真的,在这个阶段,已经得到了妻子相当大的帮助。

 

"就因为是你的妻子,就要每次免费的为你帮忙,而从来没有感谢二字。你这个讨厌鬼,这样公然地使用家内的权力骚扰!!
他假装没有注意到妻子的不满,并让妻子将剧本的情节写出,并迅速跑进附近公共浴池的桑拿房。当妻子把剧情打进电脑时,她会再次想起对我的愤怒感吧。想到这点令人不安。可她无论多么愤怒,必在三天之内就能好,但再仔细想想,三天也是很长的啊。

 

有三个月没进桑拿了,所以到发汗费了些时间,新陈代谢可能越来越差了。如果在这之后能去按摩2个小时,再去附近的饭店去吃马刺身的话,那就太完美了。可想到我将工作抛之在外,而在家里又有一个气躁的妻子,就只好放弃,乖乖地回到家里,看着妻子的脸色了。

 

晚上,我女儿在田径俱乐部的练习后,哭着回到家里。在回家的路上突然下雨了,此时有两位警察拦住了她,被问到名字,向她确认了她的自行车是否是被盗品。还严格地警告她不可以一手驾驶,同时拿着雨伞。 因为惊吓和害怕,所以哭了。

 

我本人经常会被警察询问,觉得不是什么大不了的事,就对女儿说,警察问两句也没什么,驾驶持伞应该是犯罪,不是吗? 并简答的做出回应,可我妻子且非常气愤,并生气地对我说"当傍晚变黑时,又下着雨,怎么可以叫住一个13岁的女孩,并且还确认了一些不必的盗窃等检查! 这不能原谅,你倒是去说说理啊!
妻子就像是正好找到了一个好借口,能对我生气。 既然已踩到地雷,躲避也无济于事,所以只能硬着头皮当哑巴了。当妻子脾气暴躁时,不管你如何走,都会踩到啊。

 

6月16日

上午在摄影棚,我观看了剧本的编辑小段。 信息已经发放出没什么可藏的(这个麻烦的字语,是从什么时候开始使用的呢??)。是由森山未來主演的(Under Dog)是一部拳击剧情。这一部发行剧,也将会在剧院上映。 导演是武正晴,在《百日元的爱情》中,与以往的工作人员们聚在一起,一同制作,目前看来剧情相当不错。

 

主角是一个有点讨厌的人,但也一点好的地方,有欲望,有食欲,有眼力见儿,是卑微的,可以说是一个普通人。 经常听到"普通人"这个词,但当你看戏剧和电影中所说的"普通人"时,其实都并不普通。"普通人",如果用一个美丽的演员,那就已经不寻常了。无论有没有把性欲,排泄或歧视,或嫉妒等,这些正常的事情描写出来,如果不能把这些正常的部分体现出来,就不能成为是 普通 了吧。

 

因为戏剧和电影中很少描绘出人类通常做的事情,所以这部以普通为主题的微电影,显得更加生动。这部戏剧的目的是把主角描绘成"普通人"。不管观看者怎么看,会产生何感想,我都很高兴,可能会有很多人看到这部电影。

 

下午,和KINEMA旬报的K先生一起约了去平时不曾去过的小镇上见面。他说是要带我到镇上的一家不错的小酒馆吃饭。 我早到了,所以我走进镇上的一家老旧的桑拿房(我最近只要我有时间,就找桑拿房)。桑拿房内不是清洁的很干净,很老旧。只有我和一位80岁的老爷爷,和两个全身纹身的人,我脑海中浮现出"东方承诺"电影里,桑拿浴中的场景,于是我很快的走出那家桑拿房,仅仅停留了30分钟就出来了。


 

在那之后,K先生带我到一个很有气氛,吧台式的饭店。除了我们两,都是一位客,而且每个顾客都看起来很平静,是一个可以安静品酒的地方。坐在我们对面的人,他正挺直着背面对着清酒。

 

虽然安静,可不是很拘束的气氛,价格也合理的。 我的酒量不好,但我喜欢这种氛围的酒家,下次我想带着能喝酒的妻子一起来,但她肯定又会说,"呸,就你老开开心心的在外面喝酒"这种酸话了吧。

 

与K先生讨论了9月播出的《喜剧 爱妻故事》的宣传问题。在电影里,我暴露了很多与妻子的夫妇关系,大约是这本日记的一百倍的内容,三个月后被揭露时,希望我们能以感动的泪水,来一同庆祝这个电影的播出,和可以受很多人观看,喜爱。

 

6月17日

早上,儿子对总是一起去上学的小M,笑嘻嘻的说,"嘿,你想看我妈的胸吗?。 我儿子偶尔会说,"今天不带书包! 而今天也是那一天,而"嘿,你想看我妈的胸吗?的这一句话,是当我的妻子穿着布料比较少的衣服,强迫儿子背着书包时,儿子对朋友说的。结果,儿子和书包一起被踢出门,儿子一边说"太可怕了,我妈",一边和同学小M上学去了。


↑儿子唯一喜欢的战斗教室。 他好像最喜欢相扑。

 

中午。 原定于四月开始的高中课程从今天开始。 我和妻子一起教课。(去年秋天,我和妻子在高中进行了采访,当时学校建议我们为学生上一课程?)。 老实说,从昨晚开始,我就很紧张,因为我通常不和高中生接触。 两节课90分钟,由于现在的情况,缩短为75分钟,可还是没有自信,当我咨询妻子时,妻子说,75分钟很容易嘛!然后又因为此事开始争吵了。我气呼呼地说,"如果你这么说,那么,明天该讲什么内容,所有课程都由你来决定吧! 说着,我就躺下装睡了。

 

当我早上醒来时,接到妻子的LINE信息。看其内容,只要两人一起合作,75分钟很快就会结束吧。

 

我一着急,就会声音变大,惊慌失措,这是我的坏习惯,但也许一辈子都无法治愈了。 然而,这些坏毛病就只有在我的妻子面前在会出现,她说我是"在对她撒娇。或更年期到了。但可能两者都兼而有之。而更年期这个词,是在M-1大奖赛的舌头事件以后,在比喻人的时候经常使用。有时,有些词句已不存在,或已不是原来的含义了。就如,痴呆症这一词,变成了认知症,也许以后的很多词都会一点点地改变吧。

 

在高中生面前谈论剧本时,我隐藏了和妻子的恶劣气氛。而高中生的孩子们都很听课,他们告诉我他们最喜欢的电影和最近在家里观看的作品。

 

最近,当我与20多岁和30岁出头的年轻工作人员和演员交谈时,我的印象是,他们很爱看日本电影,很少看西方电影。可从高中生的口中蹦出一个个西方电影或海外戏剧。可能现在的高中生,都在网上观看,所以遇到海外作品的机会变多的原因吧。 之后,一起决定笔名等,并一同探讨它的起源,这样,就完成了第一堂课。

 

在回家的路上,我们顺便去了一家小酒馆,喝上了一杯。因为喝了点酒,妻子的心情也恢复了。当我们三月份来这里开会时,也是在这儿喝的酒,但下课后味道比那时要好很多倍啊。

 

6月20日

短片拍摄。 十天前,我检查了这几天的天气,一直都是下雨,但大约三天前,天气已经转为晴朗。 去年,我也是在雨季拍摄,当时也很少下雨,而这一天,也是晴朗的一天。

 

在宣布紧急状态时,一对已婚夫妇每天早上散步时的争吵,标题为"2020年春天的早晨"。 酒井法子和藤井裕久扮演了这对夫妇。 我和两位合作过多次,是我最喜欢的演员之一。 我们远程匹配服装,然后当天拍摄。两人的台词量都很大,他们的动作有时合得来,有时有点别扭,但正因为如此,让人感觉更像是"已婚夫妇"的日常。


↑短片的拍摄。 奇怪的是,这对夫妇每天早上都会竞走一番。

 

为我推荐此次的拍摄机会的猪本先生,高木先生(在《喜剧爱妻故事》中担任摄影助理,可这次他是主拍摄影师),以及在火焰下独自拿着沉重的设备,并长时间为大家录音的日下部先生,我非常感谢他们的合作。此次的拍摄很迅速,从早上8点开始,中午后就结束了。还有我的妻子在助理导演和制作部四处走动,帮了我很大的忙。

 

第一次与妻子相遇也是在电影的拍摄地。妻子还是一名大学生,而我当时是导演助理,她看到我跑来跑去的忙碌着,就认为我很酷。 酷的形象只维持了三周,在那之后,近20年来,我都一直在刻意隐瞒我的缺点和傻气。我打算继续欺骗,而妻子非常好骗,经常吃我这套,也是她的一个优点。

 

 

【妻子的一枚相片】

 

【个人信息】

足立 紳


1972年生于鳥取县。日本电影学校毕业后,他以导演相米慎二先生为师。 在担任导演助理,和各种戏剧活动后,他开始自己写剧本,第一部"松田优作奖"获奖作品《百元之恋》将于2014年上映。 在这部影片中,他获得了第17届情景作家协会"菊島隆三賞"和第39届日本奥斯卡最佳剧本奖。 此外,他还获得了第38届创意电视剧大奖,包括《佐知和MAYU》(第四届"市川森一剧本奖")、《谎言800》、《小志乃不能说出自己的名字》和《儿童食堂》。 在《14夜》中,他首次作为电影导演,进行拍摄。他自己担当导演、原著和剧本的《喜剧情妻故事》将于2020年9月11日在东京/新宿皮卡迪利等全国上映。 他的著作包括《喜剧爱情故事》、《14夜》和《懦夫日记》。 最新作品是《我仍然想和我的妻子在一起》。

 

毎日、散歩しながら喧嘩する――知り合って23年。いまだに妻の地雷がわからない映画監督の日常

「足立 紳 後ろ向きで進む」第4回

 

結婚18年。妻には殴られ罵られ、ふたりの子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』(9/11から新宿ピカデリー他全国公開予定)で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

【第1回の日記はコチラ】
【第2回の日記はコチラ】
【第3回の日記はコチラ】

 

6月7日

年のせいもあるのだろうが、3月2日に子どもの休校が始まったあたりから朝がとんでもなく早起きになっている。だいたい4時くらいに目覚める。早いときは3時だ。起きると横で息子が必ず全裸で寝ており、妻は消えている(ウチは妻と息子と私が同じ部屋で寝て娘は自分の部屋で寝ている)。緊急事態宣言のかかったあたりから夜中の何時くらいか分からないが、妻は毎晩寝室を抜け出し、別の部屋で一人大口を開け寝るようになった。私の鼾で眠れないらしい。

 

私も自分の鼾で起きることもあり熟睡できていないので、ちゃんとしたマウスピースを買おうと思っている。妻がAmazonで買ってくれた数百円のマウスピースはどうしても途中で吐き出してしまう。目覚めたあとはメールの返信をしたり、ちょっと原稿を書いたりして、5時半くらいに妻を無理矢理起こして散歩に出る。

 

6月1日から学校が段階的に始まり、朝も早くなったので散歩の時間を早めたのだ。現在朝の散歩はロケハンと化している。6月に少人数で短編映画を撮る予定があるからだ。とある夫婦が緊急事態宣言中に毎朝散歩しながらケンカしているという話で、今の私たち夫婦をそのまま映したような映画だ。良さげな道を見つけても、交通量が多かったり、住宅地のど真ん中のため大きな声でセリフを言えなさそうだったりして、なかなかベストな場所が探せない。

 

昼、映画やドラマの撮影現場のケイタリングをしている小水とうたさんの店(https://twitter.com/tohtering)に向かう。ウチから自転車で30分、お店到着。テイクアウト専門だが、お店の外には列ができていて繁盛している模様。とうたさんの奥様におんぶされた赤ちゃんが音楽にノリノリでメチャクチャかわいかった。カレーと鶏飯を買って帰り、娘も大喜び。かなりの量をペロリと食べた。とても美味しいので皆様も是非。

 

6月11日

朝のロケハンだけでは間に合わず、真昼間30度超えの炎天下のなか、妻と短編映画の台本を読みながらロケ候補の道を歩く。大体の撮影する道は絞れたが、セリフを最後まで言える尺があるか確認のためひたすら読んで歩く。中年男女2人が汗だくだくでブツブツ話しながら炎天下をさまようのは不審極まりない気もするが、あまり気にしなくなってしまった。これがだいたい毎朝行われている姿だからだ。

 

毎朝の散歩中、私は必ず一度は妻を怒らせる。余計な一言を言っているらしいが、結婚18年、その前の付き合いも合わせれば23年以上になるが、いまだに妻の怒りのポイントが分からない。いや何となくは分かっているが、そんなことで怒るような人になってほしくないと思い、改善してほしくて私は余計なことを言い続けているのだ。ということを伝えると、妻は「余計なお世話だし、お前何様だ。人を無理矢理変えようとするな。とにかくお前が余計な一言をやめれば争いは3分の1になる」と言う。妻だって私を無理矢理変えようとしている気がするのだが……。

 

今回の短編は、東京都が主催している「アートにエールを!」という企画の一環で撮影するものだ。10人以下で作らねばならないという規定はあるが、各スタッフに10万円支給される。私の監督作や脚本作を何本も撮影してくれているカメラマンの猪本さんからこの企画のことを教えてもらい、こういう状況下のことを記録しておくのも良いかもしれないと思い応募したのだ。

 

と言っても面倒な企画の応募は妻に任せた。その他台本打ち、ロケハン、本読みなども付き合っている妻が私も10万申し込めばよかったと何度も言う。応募の段階から「どうせ私も手伝うんだからちゃんとギャラが欲しい」と妻は言っていたのだが、実際どのくらい手伝ってもらうか分からないし、たいして手伝ってもらわなかったら妻もスタッフとして登録するのは恥ずかしいしみっともないと思い(つまり私はええっかっこしいなのだ)、「まあ今回はあんまり手伝ってもらうこともないし登録しなくていいんじゃないの」と私は言った。が、案の定というのか読みが甘かったというのかこの段階でかなり手伝ってもらっている。

 

「女房だからって毎度毎度無償で手伝わせた挙句、あんたからは感謝のかの字もない。このクソ野郎。家庭内パワハラ野郎。死にやがれ」と沸々と煮えたぎる妻の不満に気が付かないふりをし、書きかけのプロットを読んでおいてと頼んで、そそくさと近所の銭湯のサウナに逃げ込んだ。この日記をパソコンに打ち込んでもらうときに妻は再びこの時の怒りを思い出すだろう。それが不安だ。どんなに怒り狂ってもその怒りは3日くらいで収めてくれるところが妻の良いところだと私は思っているが、よくよく考えてみると3日って長いんじゃないかとも思ったりはする。

 

約3か月ぶりのサウナは発汗に時間がかかった。代謝が悪くなっているのかもしれない。このまま銭湯に併設しているマッサージ屋で2時間ほど施術を受け近所にある昼からやっている馬刺し屋に行ければ最高なのだが、妻に仕事を丸投げしたままでそんなことをしては罰が当たりそうなのでマッサージと馬刺しは我慢して不機嫌な妻がいる家に戻って、息をひそめて時を過ごした。

 

夕方、娘が陸上クラブの練習から泣きながら帰宅。帰りの自転車で突然雨が降ってきたから傘をさしていたら大柄の警察官二人組に呼び止められ、傘をさしながらの片手運転を厳しく注意されたとのこと。そしてそのまま、名前などを聞かれて雨の中足止めされ盗難自転車の確認をされたとのことで、驚きとともに怖くてその後泣きながら雨に打たれて帰宅したと言う。

 

普段から職務質問をよく受ける私は、警察なんてそんなもんだし、確かに傘をさしながらの運転は犯罪になったはずじゃね? と軽く対応していると、「夕方の雨の薄暗いときに、わざわざ13歳の女の子と呼び止めて盗難チェックしなくてもいいでしょ! あたしそーいうの許せない、あんた、文句言ってきなさいよ!」と妻がなぜか私に怒り狂っている。なにか私に怒りをぶつけたかった妻はちょうど良いネタを見つけたのだろう。踏んでしまった地雷はどうにもならないので、石になって聞く。それにしても妻が不機嫌な時はつま先でソロっと歩いていても踏んでしまうくらい地雷が敷き詰められている。

 

6月16日

午前中とあるスタジオで、脚本を書いた映画の編集ラッシュを見る。すでに情報解禁(この面倒くさい四字熟語っていつごろから使われるようになったのだろうか……?)されている作品だから隠す必要もないが、森山未來さんが主演の『アンダードッグ』というボクシングものだ。配信ドラマだが劇場公開もされる予定だ。武正晴監督をはじめ『百円の恋』のときとほぼ同じスタッフが集まって作ったのだが、ラッシュの時点でかなり良いと思った。

 

主人公はちょっと嫌な男で、でも少しは良いところもあって、性欲もあるし食欲もあるし人目も気にするし、卑屈だし普通にその辺にいそうな人だ。「普通の人」という言い方はよく耳にするが、ドラマや映画の中で言われる「普通の人」は見てみるとたいてい普通じゃなかったりする。「普通の人」という設定の場合、美男美女の俳優さんがキャスティングされていたらその時点でもう普通ではないし、普通というのは性欲とか排泄とか差別するとか嫉妬するとか直接描くかどうかは別として、人間ならそういったことがあるのが普通だよねという部分が感じられないと普通とは言えないのではなかろうか。

 

人間が普通にやっていることがドラマや映画ではあまり描かれないからそういったものを描くと生々しくなる。でも生々しさにも何だか「どうだ、生々しいだろ」と狙いすぎなものもあって、そうなると観ていて引いてしまう。今回のドラマは主人公を「普通の人」として描くことを狙ったつもりだ。こういう主人公が受け入れられるのか、何とも思われないのか、見たくもないと思われるのか、いずれにせよ多くの人に観ていただけたらうれしい。

 

午後、キネマ旬報のKさんと普段は滅多に行くことのない町で待ち合わせ。なんでもその町にある素敵な居酒屋さんに連れて行ってくれるとのこと。少し早く着いてしまったので、その町にある古いサウナに入った(私は最近、少しでも時間があるとすぐにサウナを探す)。掃除の行き届いていない古い連れ込み宿的な雰囲気のサウナにお客さんは私と80歳くらいのおじいちゃん、そして全身刺青だらけの怖そうな人の中でもかなり気合いの入られた感じの方が2人組でいらして、なんだか『イースタン・プロミス』のサウナのシーンが思い浮かんできてしまい、さっさとサウナから出ると汗もろくに拭かずに退店した。店にいた時間はわずかに30分ほどだった。

 

その後、Kさんと合流して連れて行っていただいたお店は、コの字型のカウンターで静かにお酒を飲むというか嗜むような雰囲気のお店で、我々以外は全員一人客。それも落ち着いた年配の男性ばかりだった。我々の正面で飲んでいらした方など背筋をピシッと伸ばしてお酒とまさに対峙していらっしゃった。

 

が、だからと言って堅苦しい雰囲気のお店ではないし、値段だってリーズナブルだ。私はお酒には滅法弱いが、こういう雰囲気のお店は大好きだし、次回は大酒飲みの妻を連れてこようと思ったが、きっと誘うと「チッ。お前だけいつも楽しそうな店で飲みやがって」と憎まれ口を叩くだろう。

 

Kさんとは9月に公開予定の『喜劇 愛妻物語』の宣伝について打ち合わせをした。妻との夫婦関係をこの日記の百倍くらいはさらけだした映画だけに、3か月後、さらけだした甲斐があったねと妻と泣きたいので多くの方に観てもらえたらうれしい。

 

6月17日

朝、いつも息子を迎えに来てくれるМ君に息子がニタニタしながら「ねえねえボクのママのオッパイ見る?」などと言っている。息子はたまになぜか「ランドセルを持って行かない!」と言い出す日があり、今日もその日だったのだが、妻がタンクトップなのか何なのかよく分からないが露出度高めの格好で無理矢理息子にランドセルを背負わせていたときに息子がМ君に言ったのだ。ランドセルを蹴飛ばされて追い出された息子は「ひどいでしょ、ボクのママ」と言いながらМ君と学校に行った。

↑習い事は全て嫌がって来た息子が唯一楽しんでいる闘い教室。お相撲が一番好きらしい

 

昼。4月から始まる予定だった高校の授業が今日から始まった。妻と二人で授業をした。(そもそも去年の秋に妻とシナリオの取材をした高校で、それなら試しにシナリオ講座やりませんか? という流れになったのだ)。普段、高校生と触れ合うことなど丸っきりないので、正直昨晩からかなり緊張していた。2コマ90分がこのご時世のために短縮で75分になったが、それでも75分持たせる自信がなく、何を話せばいいのか妻に相談すると、妻は75分なんてちょろいでしょと言うのでまたそこから口論が始まってしまった。私は捨てゼリフ的に「ちょろいって言うなら、じゃあ明日何を話せばいいのか全部メニュー決めといてよ!」と言ってふて寝した。

 

朝起きると妻からレジュメのLINEが来ている。ま、こんな感じで話して一人ずつに振れば75分なんてすぐ終わるかもなとも思ったりもする。

 

焦ってしまうとすぐにパニックになり、大声で怒鳴り、慌てふためくのは私の悪い癖だが多分一生治らないだろう。だがこれが発生するのはなぜか妻の前だけで、「甘えてんだよ。もしくは更年期障害」と言われるが、両方かもしれない。それにしても更年期障害という言葉もⅯ-1グランプリの舌禍事件以来かその前からか分からないが、人を揶揄するときに使われることも多い気はする。何となく言葉の響きにそういう雰囲気を感じなくもないから、痴呆症が認知症に変わったように他の言葉になっていくかもしれない。

 

妻との険悪な雰囲気を押し隠しつつ高校生の前で脚本について話したが、高校生たちもしっかりした子ばかりで、好きな映画や自粛中に見ていた作品など教えてくれて助けられた。

 

近ごろ、撮影現場にいる20代や30代前半くらいの若いスタッフや俳優さんと話していると、自主制作も含めて邦画は本当によく観ているわりに、洋画をほとんど観ていないという印象があった。だが授業に来ていた高校生たちの口から出てくるのは洋画か海外ドラマばかりだった。今の高校生くらいだとすでに配信がメインになっているかもしれないから、海外の作品との出会いも多いのかもしれない。その後はペンネームなどを決めて、その由来をみんなで発表しあって最初の授業を終えた。

 

帰りに昼飲みできる居酒屋に寄って妻といっぱい飲んだ。酒が入って妻の機嫌も回復したので良かった。3月に打ち合わせに来た時もここで飲んだが、その時より授業を終えた後の方が数倍美味しかった。

 

6月20日

短編映画の撮影。10日ほど前からこの日の天気を確認しておりずっと雨マークだったのだが、3日ほど前から晴れになっていた。去年も梅雨の真っただ中に撮影していたが、ほとんど雨に降られることはなく、この日も快晴。

 

緊急事態宣言中、とある夫婦が毎朝散歩しながら口論しているという話で、『2020年 春の朝』というタイトルだ。坂田 聡さんと後藤ユウミさんが夫婦を演じてくださった。お二人とは何本もお仕事させていただいている大好きな俳優さんだ。リモートで衣装合わせだけして、あとはぶっつけ本番で撮影した。お二人ともにセリフの分量はかなりあったが、息が合ったり合わなかったりする感じが「夫婦」に見えて良かった。

↑短編映画の撮影の1コマ。夫婦が毎朝最初だけ競歩なのが妙におかしかった

 

何か作ろうと言ってくれた猪本さんをはじめ、撮影の高木君(『喜劇 愛妻物語』では撮影助手だったが今回は彼が撮影だ)、炎天下の中ずっと重い機材を一人で抱えて長回しに付き合っていただいた録音の日下部さんには本当に感謝だ。かなり早いピッチで撮影したので朝の8時から始めて昼過ぎには終わってしまった。妻が助監督兼制作部的に動き回ってくれて本当に助かった。

 

思えば最初の出会いも映画の撮影現場だった。助監督として走り回っている私を見て、当時はお手伝いに来ていた大学生だった妻がカッコいいと思ったのが始まりだ。そのカッコ良さのメッキは3週間ではがれたが、その後は口八丁手八丁で何とか誤魔化しながら20年近くやってきた。これからも誤魔化し続けていくつもりだし、そこに誤魔化されてしまうところが妻の良いところだと思っている。

 

 

【妻の1枚】

 

【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が2020年9月11日から東京・新宿ピカデリーほか全国で公開予定。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『それでも俺は、妻としたい』。